個人事業主が支払う税金の会計処理の仕方をわかりやすく解説

2019年3月26日

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間違いやすい税金の処理も、税金の性質を考えればそれほど難しくありません。経費計上できるものは、しっかりと経費としてくださいね。

個人事業主が払わないといけない税金はたくさんある

税金といえば所得税が思い浮かびますが、個人事業主が払わないといけない税金は、他にもたくさんあります。

所得税、住民税、個人事業税、消費税、源泉所得税、固定資産税(償却資産税)、自動車税などなど。

帳簿をつけていて頭を悩ますのが、それぞれの税金の支払いがあったときの会計処理方法です。今日は、それぞれの税金の会計処理の方法を解説します。

ちなみに、税金の種類と支払い時期については、こちらの記事で解説しています。

https://www.naowakayama.com/2018/12/20/tax-for-kojinnjigyounusi/

経費となるものとならないものがある

一口に税金といっても、会計処理は同じではありません。

経費となるものとならないものがあります。

当然ですが、事業に関係しないものは経費にはなりません。

でも、事業に関係するものでも経費になるものとならないものがあります。

例えば、所得税、住民税は経費となりませんが、事業に関する固定資産税や自動車取得税などは経費となります。

同じ税金なのに、どうしてこのような違いがでてくるのでしょうか?

経費になるものならないものの区別は?

それは、税金の性質が違うからです。

さきほどの税金は、3つにグループ分類できます。

第一グループ:儲けに対してかかるもの

所得税、住民税、個人事業税

第2グループ:他の人が負担する税金を預かっているだけのもの(説明の便宜上、預かっていると表現しています。厳密には、納税義務者は事業主です)

消費税、源泉所得税

第3グループ:資産の保有に対してかかるもの

固定資産税(償却資産税)、自動車税

儲けに対してかかるもの

所得税、住民税は、儲けに対してかかる税金です。

所得税=(収入ー経費)×税率 で計算されます。

もし、税金も経費とすることができれば、

所得税=収入ー経費―所得税

となり、無限ループのような計算になってしまします。

そのため、儲けに対してかかる税金は経費となりません。

事業主が負担すべきものを払っているだけなので、以下のような仕訳となります。

(借方)事業主貸 (貸方)現預金

ただし、事業税だけは取り扱いが違います。

事業税は、経費となります。

これは、事業税が事業に対してかかる税金だからです(事業をやっていなければ課税されない)。

他の人が負担すべき税金を預かっているだけのもの

源泉所得税や消費税がこれです。

一旦、手元にお金が入るので、支払ったときに自分が払っているような気持ちがしますが、他人からお金を預かって支払っているだけです。なので、当然、経費にはなりません。

源泉所得税は、他の人が払うべき所得税を預かっているだけですし、消費税は、消費者が負担すべき税金です。

ただし、消費税の処理については注意が必要です。

税込みを処理を採用している場合には、消費税の支払い時に租税公課という勘定科目を使います。

税込み処理とは、消費税部分と本体価格を区別せずに一括して処理する方法です。支払い時に、租税公課という費用科目を用いますが、収益も費用も税込み価格で膨らんでいますので、税抜き処理を採用した場合と利益はほぼ同じとなります。

資産の保有にかかる税金

これは、経費となります。

固定資産税(償却資産税)、自動車取得税などですね。

支払い時には、租税公課という勘定科目を用いて処理します。

贈与税も相続税も資産の保有に関する税金ですが、事業と関係しないため経費とはなりません。

まとめ

税金は種類もたくさんあり、名前がなんとなくいかめしいので、「わからない~」と思ってしまいます。人間、「わからない」とか「いやだな」と感じると思考をストップさせてしまいがちです。私も最初の頃は苦手でしたし、お客さんの帳簿をみていても間違いが多い箇所です。

でも、その税金の性質を考えれば決して難しいものではありません。

支払い金額も多くなることがありますし、経費となるもはしっかりと経費計上してくださいね。

編集後記

午前中はバレエ、午後から事務所に資料をとりに行きました。