古い建物の耐用年数をチェックしてみよう!

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古い話ですが、平成10年に建物の耐用年数が短縮されました。変更に気が付かず、従前の耐用年数を変更していないケースがあります。平成10年より前に建物を取得された方は、一度、固定資産台帳をチェックされてはいかがでしょうか?

固定資産台帳は、節税の宝庫

現物の固定資産と固定資産台帳を整合させるのは、意外に難しく、上場しているような会社であっても整合していないこともあります。経理に複数のマンパワーをさけない中小規模の会社ですと、なおさら、整合させることが難しいです。

そのため、当事務所では、償却資産税の申告の時期に、固定資産台帳を確認してもらっています。大きな資産を廃棄したとか、買換えというのは話題にのぼってきますが、比較的少額のものだと話題にすらならないので、すでに廃棄してしまった資産が固定資産台帳に載ったままになっているものがよく発見されます。

使っていない固定資産が台帳に載っていることのデメリットは、

①固定資産税を余分に払わなといけない。

②費用化される期間が長くなり、節税・資金繰りの点からも好ましくない。

以上のことから、使っているか?廃棄されたものがないか?という視点は大事です。

そして、もう一つ大事なチェックポイントがあります。

それは、使用しているものであっても、耐用年数や償却方法が誤っていないか?という点です。

なぜ、古い資産の耐用年数や償却方法のチェックが大事なのか?

それは、減価償却のルールがたびたび変更されているからです。

以下は主な改正です。

平成10年 

  • 建物の法定耐用年数が短縮される。
  • 平成10年以後取得の建物の償却方法は旧定額法のみとなる。

平成13年

  • パソコンの耐用年数の見直しが行われる。

平成19年

  • 残存価額が廃止され、償却限度額が100%となる。ただし、除却するまで備忘価格として1円を残す。
  • 上記にともない、定額法・定率法(250%定率法)の償却率が変更される。
  • 既存設備については、償却可能限度額の95%までは従来の方法で償却し、95%に達した翌年から残り5%を5年で消償却する。

平成20年

  • 機械及び装置の設備が370種類から55種類となる。
  • 主に機械及び装置の法定耐用年数が見直される。

平成23年

  • 200%定率法の制定

平成28年

  • 平成28年4月1日以降に取得する「建物附属設備」と「構築物」の減価償却の方法が、「定額法」となる。

特に影響の大きな資産は?

固定資産の減価償却は、ソフトを使うのが一般的だと思います。上記の改正のうち償却方法の変更は、ある程度ソフトでカバーされていると思います。

問題は、耐用年数が変更された場合です。ソフトが勝手に耐用年数を変更してくれるなんてことはありません。自分もしくは税理士事務所が気がつかないと古いままの耐用年数となってしまいます。

上記の改正のうち、特に影響が大きいのは、平成10年の建物の耐用年数の変更です。

木造などはそれほど短くなっていませんが、鉄骨転勤コンクリート造り・鉄筋コンクリート造りはかなり短くなっています。

例えば、住宅用のものですと、改正前は60年だったのが改正後は47年になっており、13年も短くなっています。

鉄筋コンクリート造りのマンションを賃貸用で保有していらっしゃる方が、該当しますね。

不動産賃貸業だと融資との絡みもありますので、減価償却できる期間は大切です。

平成10年よりも前に建物を取得しておられる方は、一度チェックすることをおススメします。

編集後記

今日は、長男の授業参観でした。子供たちが作ったお店屋さんで一緒に遊ぶという企画で、思いがけず楽しかったです。