もう少し深く、LINEの決算書をみてみよう!セグメント情報
上場会社の決算書を見る際にセグメント情報は欠かせません。セグメント情報の意味、記載場所などをLINEの決算短信を用いながら説明します。
LINEの決算書
前回のブログでは、LINEの決算書をざっと見てみました。
https://www.naowakayama.com/2019/06/10/line-no-kessannsho/
2019年1Qの売上は、前年比13%も伸びていましたが、利益はともなっていませんでした。
どうやらLINE Payなどの新規ビジネスにコストがかかり赤字となっているようです。
この辺りの数字は開示されていないのでしょうか?
いいえ、きちんと開示されています。
「セグメント情報」です。
セグメント情報って何?
「セグメント情報」、聞きなれない言葉ですが、何なのでしょうか?
セグメント情報とは、企業の売上、利益などの情報を、事業部門別や地域別に記載したものです。
セグメントは、経営者が業績評価を行い、経営資源を配分する単位ごとに区分されます。
LINEのセグメント情報は↓です。
つまり、経営者が経営判断を行っている単位がセグメントとなります。事業部であったり、地域であったり様々です。
どこに記載がある?
それでは、セグメント情報はどこにあるのでしょうか?
財務諸表の注記の中にセグメント情報があります。
セグメントごとの売上と利益などが掲載されています。
順番としては以下のようになっています。
貸借対照表⇒損益計算書⇒包括利益計算書⇒株主資本等変動計算書⇒注記(この中に記載されている!)
中小企業の場合は、注記はそれほど重要視されない場合が多いのですが、上場会社の注記には、大切な情報が書かれています。
LINEのセグメントは?
2019年1Qのセグメント情報を要約すると以下のようになります。
ここからわかることは、
①LINEは、コア事業と戦略事業とに分けて経営をしている。
②全体の売上の553億円のうち、479億円(約86%)はコア事業の売上である。
③コア事業は、82億円の利益が出ている。利益率は17%(82億円/479億円)である。
④戦略事業は、150億円の赤字となっている。
ちなみに共通及び調整には、その他営業外収益と株式報酬が含まれています。会社によって何が含まれているか違いがあるので、セググメント情報に記載があります。
さて、セグメントの分け方は、セグメント情報の冒頭に会社の考え方が記載されています。
当社の取締役会は、コア事業で稼得した資源を戦略事業に再配分するという戦略のもと、売上収益及び損益の成長を評価するコア事業と、ユーザーベースの拡大など損益意外のKPIも重要な指標として評価する戦略事業に分けて業績を評価しています。
LINE 決算短信より
やはり、既存のビジネスで稼いだ利益を使って新しい事業を育てているのですね。
それでは、何がコア事業で、何が戦略事業なのでしょうか?
これも記載があります。
広告収入、スタンプ、LINE GAMEがコア事業で、LINE Payなどが戦略事業として位置づけられています。
広告収入などは、利益がでているのですね。
ちなみにこのセグメント情報、前期の数字も開示されています。
前期のコア事業の売上は427億円で、利益は81億円でした。利益率は19%です。売上は増加していますが、利益率は低下しています。
さらにみると前期の減価償却費は20億円、当期の減価償却費は33億円です。減価償却費が増加しているということは、何か設備投資を行ったということが考えられます。利益率の低下は、設備投資の影響だと推測することができます。
まとめ
上場会社の決算書を見るときは、セグメント情報も一緒にみるとその会社の状況がよくわかります。
セグメント情報をみると、この会社こんな事業もやっているのか~という発見があります。会社のHPから簡単に見ることができるので、いろんな会社のセグメント情報を見てみてください。きっと面白いですよ。
編集後記
午前中仕事をした後、バレエのレッスンへ。大人になってこんなにダメ出しされる機会は、貴重です。バレエって難しい!