LINEの決算書を見てみよう!

2019年6月11日

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LINE Payの派手な還元キャンペーンが気になって、LINEの決算を調べてみました。そこからわかったのは、次なる商売を本気で育てようとしているLINEの姿勢でした。

この記事は、初心者にもわかりやすいように、難解な説明を敢えて避けています。そのため、ざっくりとした説明となっています。

2019年1Q決算短信

2019年の決算短信のページをみると、2019年1Q決算短信という資料が掲載されています。

1Qとは、ファーストクオーターのことで、日本語でいうと第一四半期です。決算月の翌月から最初の3か月のことです。3月決算であれば、4月~6月まで、12月決算であれば1月~3月までのことを指します。

知らなかったのですが、LINEは12月決算なのですね。

トップページ

トップページには、決算の概要が記載されています。

有価証券報告書より薄いとはいえ、それなりにボリュームのある書類なので、まずはここを把握すればOKです。

まずは、表題です。

LINE 20191Q 1

2019年12月期 第一四半期決算短信〔IFARS〕(連結)と記載されています。

2019年12月決算の第一四半期⇒2019年1月~3月までが対象期間です。

〔IFARS〕⇒国際会計基準を採用していますという意味です。

会計基準とは、財務諸表を作成するルールです。

実は、このルール複数あります。財政状態及び経営成績を適正に表示するという目的は同じなのですが、考え方の違いにより、若干の相違点があります。日本では、日本基準、米国会計基準など複数の基準が認められているため、どのルールを採用しているのかの記載があります。

LINEは国際会計基準(IFARS)なのですね。やはりグローバルな活動を視野に入れているなという感じがします。

(連結)⇒連結決算ですという意味です。

単体の決算短信もありますが、実態を把握するなら、絶対に連結ベースです。

業績は?

続いて業績が載っています。

数字は百万円単位です。

単位が大きいので慣れないうちは読みにくいのですが、すぐに慣れます。

2019年1Qの売上は、553億円(100万円にゼロが2個つくと1億円です)です。

横のパーセンテージは、前年同期と比較して何パーセント増減したか?ということです。

売上は、13%増加しています。

しかし、肝心の利益は伴っていません。

営業利益は79億円の赤字、税引き前利益も113億円の赤字、四半期利益も107億円の赤字となっています。

やっぱり、大赤字ですね。

倒産しない?

これだけ赤字が大きいと倒産しないか心配になります。

そこで、貸借対照表を見てみましょう。

ページをめくると貸借対照表があります。

2019 1Q BS 資産の部

ここの現預金に注目です。2,488億円もあります。これだけ手元資金が潤沢ですと、すぐに倒産する心配はなさそうです。

でも、これだけの現預金、どこからきたのでしょうか?

お金の出どころは、次の3つです。

①株主に出資してもらった

②過去に稼いだ利益

③他人から借りた

負債及び資本の部を見てみましょう。

2019 1Q BS 負債・資本

まず資本の部をみます。

資本の部には、株主が出資したお金+過去に稼いだ利益が載っています。資本の合計は、2,074億円です。

資本金と資本剰余金が、株主が出資したお金です。資本金が962億円、資本剰余金が1,123億円ありますので、株主が出資したお金は、合計2,085億円です。

利益剰余金が、過去に稼いだ利益です。

意外なことに利益剰余金は、159億円のマイナスです。そのうち107億円は、2019年第一四半期に計上された赤字です。なので、ここ最近の赤字で過去に獲得した利益が吹き飛んでマイナスとなっていることがわかります。

続いて負債の部を見ます。負債の部は、雑な言い方ですが、人から借りているお金です。

この中に社債が、1,423億円あります。

どうやらLINEは、次のビジネスを育てるために、社債を発行して、資金の手当てをしていたようです。

さすが、上場企業、しっかりと計算しています。

決算書からわかること

売上は増加したけれど、結局は赤字だったということだけではありません。

LINEは、まず本業で利益を出し、その信用で社債を発行し、次なるビジネス(スマホ決済)を育てているということがわかります。

この姿勢は、どんなに小さなビジネスでも参考になるのではないでしょうか?

まずは、本業でしっかりと利益を出す。

そして、そこで儲かったお金の一部を使って、次の商売のタネを育てる。

このサイクルは大切だと思います。

次の商売のタネといのは、全く異業種に進出することだけではないと思っています。今の商売の専門性を高めたり、品質を改良したり、向上させたりといったことも入ってきます。

次の商売のタネは、育つまでに時間もかかりますし、大きく育ってくれるかどうかもわかりません。でも、次の手を打っておくのは大切です。

利益がたくさん出ると、つい税金が気になって節税対策という名前の経費を使うことを考えてしまいます(私もそうです)。でも、次の商売のタネを育てることも考えないといけませんね。

編集後記

今日は自宅で、申告書・納付書の送付や資料の整理をしていました。実は、こういった作業、意外と時間がかかります。