耐用年数が違ったら?

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固定資産台帳をチェックしていると過去に取得した固定資産の耐用年数の誤りに気がつくことがあります。発見した年以降は正しい耐用年数に変更します。さらに、個人の場合、過年度の誤りは更生の請求で税金を取り戻すことができます。

平成に入ってから減価償却に関する改正が頻繁にある

平成に入ってから減価償却の方法に関する改正が頻繁にありました。

平成10年には建物の耐用年数が短くなりましたし、平成20年には機械装置の耐用年数が見直されました。双方の改正では、既存の設備も、改正後の耐用年数を使うこととされています。でも、うっかりと改正を見落としていて、改正前の耐用年数を使っている場合があります。

減価償却とは、固定資産の取得価額を決められた期間で少しずつ費用化していく方法です。ですから、誤りを発見した時点で、その資産がの償却がすべて終わっていれば、耐用年数が違っていても影響はありません。

問題は、償却が終わっていない場合です。この場合、以下の問題が出てきます。

①誤りを発見した以降の年の耐用年数はどうするのか?

②過去の減価償却費はどうなるのか?

ちなみに、減価償却に関する改正の推移は、こちらのブログです。

https://www.naowakayama.com/2019/03/01/furuitatemono-no-taiyounennsuu-wo-check-siyou/

誤りを発見した年以降の耐用年数

法人、個人関係なく、改正後の耐用年数に変更します。

例えば、鉄筋コンクリ―ト造りで居住用の建物は、平成10年の改正前は60年でしたが、改正後は47年になりました。もしこの建物の耐用年数が60年となっていれば、改正後の47年に変更します。気づいた時点で、改正後の耐用年数に訂正し償却していくこととなります。

過去の耐用年数はどうなるのか?

それでは、改正から気づいた年までの減価償却はどうなるのでしょうか?

こちらは、法人と個人で対応が異なります。

法人は、過去の分を訂正することができないのに対し、個人は過去の分の「更生の請求」により訂正が可能です。「更生の請求」とは、計算を間違って税金を払いすぎていたので、返してくださいという請求です。

これは、法人と個人で税金上の減価償却の考え方が違っているためです。

法人は、減価償却は任意なのに対し(任意償却)、個人は、絶対にしないといけない(強制償却)だからです。

法人⇒任意償却⇒償却できる限度内で損金参入したもののみ認められる⇒過去に損金参入していないので、過年度に少なかった分は経費にできない。

個人⇒強制償却⇒減価償却の手続きにしたがって計算した金額は絶対に減価償却しないといけない⇒過年度に少なかった分は訂正できる。

ちなみに、法人の減価償却が任意という考え方、私は理解できません(;^_^A 他の経費では恣意的な操作は否認される傾向があるのに、減価償却だけこんな恣意的操作を認めるような規定でいいのだろうか?と思ってしまいます。納得いかない…

編集後記

今日は、事務所にて確定申告の最終チェックをしていました。事務所の近くは、お豆腐屋さん売りにきてくれます。美味しいので買ったのですが、事務所に忘れてきてしまいました😭