税金が安くなること=人生にとって良い事、とは限らない
税金が節約できること、お金が多く手元に残るようにすることはもちろん大切です。でも、一番大切なので、その人が幸せに人生を過ごせることだと思います。
暦年贈与
暦年贈与というものがあります。
1年間に受けた贈与の額が110万円以下であれば、贈与税がかからないというものです。
これを利用して贈与を行い、相続税対策を行うという手法が広く知られています。
例えば、3人の子供に毎年110万円ずつ、20年間暦年贈与を行ったとします。
1年間に贈与できる額
110万円×3人=330万円
20年の間に贈与できる額
330万円×20年=6,600万円
6,600万円もの財産を、無税で子供に移すことが可能です。
大きいです。
暦年贈与の要件は厳しい
暦年贈与と認められるための要件は、厳しいです。
この辺りは、他のいろんな方が解説してくださっていますので、詳細は省略します。
私が、厳しいなと感じるのは、「贈与したお金を、あげた人が管理をしてはいけない」という点です。
例えば、子供名義の通帳にお金を振り込んでも、その通帳をあげた人が持っていて、子供は自由に使えないという場合です。「名義預金」と呼ばれ、税務署は認めてくれません。
贈与した後、子供がどのように使おうが自由!
という状況にしておかないとダメなのです。
本当にそれでいいのか
大半の方が、子供に毎年110万円ものお小遣いをあげることに、抵抗をおぼえるのではないでしょうか?
私もそうです。
暦年贈与は、1年間に贈与できる金額はしれていますが、長い期間継続して行うことで効果を発揮します。
そのため、相続が起こるかなり前から準備をしておく必要があります。
親御さんが、50代または60代のうちから始めると効果的です。
そのときのお子さんの年齢はいくつでしょうか?
30代を過ぎて、お金を稼ぐことの大変さをわかっていれば問題がないのかもしれませんが、10代、20代のうちはコワイなと思います。
私は、自分の子供に、毎年110万円のおこづかいをあげるなんてことはしたくありません。(そんな財力もありませんが…)
お金の大切さがわからなくなってしまうからです。
お金なんていくらあっても無くなるときは、一瞬です。
税金を減らしたいが為に、子供にお金をあげて、子供が働かなくなってしまっては、将来、困るのは子供です。
税金を払うことになったとしても、自分で生活できる力を身につけてくれた方が、親としては嬉しいです。
節税という言葉の魔力
暦年贈与の事を考えると、
節税=その人の人生にとって良いこと
ではないと気がつかされます。
税理士は、節税の観点から話をしがちです。
でも、節税+人生の幸せという観点でアドバイスができるようになればいいなあと思います。
まだまだ、人生経験も足りませんし、学ぶべきことはたくさんありますね。
編集後記
今日も引き続き、京都で仕事です。