印紙税なんて無くなればいいのに…
印紙税は不合理
税金というものは、どれでも多少不合理だと感じるものですが、
印紙税ほど不合理な税金はないと思っています。
印紙税とは、5万円以上の領収書や契約書に印紙を貼付して割り印をしないといけないというアレです。
私が不合理だと感じる理由は、課税の根拠がよくわからないからです。
課税の根拠がよくわからない
そもそも印紙税とは何なのでしょうか?
印紙税は、印紙税法という法律に基づいて、課税物件に該当する文書に対して課税されます。
課税物件は1号から20号までとたくさんあります。
よく目にするものとしては、高額の領収書、借入金の契約書、不動産の契約書などではないでしょうか?
それでは、なぜこれらの書類を作成すると印紙税を負担しないといけないのでしょうか?
政府の税制調査会はこう説明しています(00年「我が国税制の現状と課題」)。
「契約書や領収書など文書が作成される場合、その背後には、取引に伴って生じるなんらかの経済的利益があるものと考えられます。また、経済取引について文書を作成するということは、取引の当事者間において取引の事実が明確となり法律関係が安定化されるという面もあります。印紙税は、このような点に着目し、文書作成行為の背後に担税力を見出して課税している税金ということができます。」
つまり、課税根拠は2点つあると政府は言っています。
①文書を作成するには、何らかの経済的利益があるからそこに担税力がある
②文書を作成することによって法律関係が安定化される
これを読んで、納得がいくでしょうか?
私は、全く納得できません。
まず①文書を作成するには、何らかの経済的利益があるという点
経済的利益は、法人税や所得税で課税がされているのに、なんでわざわざ印紙税として課税するのか?わかりません…
そして②の法律関係が安定化されるという点。
印紙を貼付することによって、法律上有効となるというならば理解できるのですが、印紙を貼付していなくても法律上は有効です。
印紙の有無は、法律上の有効無効には関係ないのに、法律関係が安定化するという理由で課税されるという不合理さ。全く意味がわかりません。
さらに、紙で作成したものは印紙税の対象ですすが、電磁的に作成されたものや、海外で作成されたものは印紙税の対象ではありません。謎が謎を呼びます…
不合理にも関わらず実務上の影響は大きい
こんなわけのわからない課税根拠ですが、実務上の影響は大きいです。
なぜなら税務調査で必ずチェックされる項目だからです。
あまり指摘することのない調査の場合、調査官は必ず契約書の束に目を通します。
そして印紙の貼り洩れを見つけては、
意気揚々と「収入印紙が貼ってないですね~」と言って追徴していきます。
印紙税は税理士の職務の範囲外
税理士法という法律で税理士の職務範囲が定められているのですが、ここで明確に除外されています。
税理士は、他人の求めに応じ、租税(印紙税、登録免許税、関税、法定外普通税(地方税法(昭和25年法律第226号)第10条の4第2項に規定する道府県法定外普通税及び市町村法定外普通税をいう。)、法定外目的税(同項に規定する法定外目的税をいう。)その他の政令で定めるものを除く。第49条の2第2項第10号を除き、以下同じ。)に関し、次に掲げる事務を行うことを業とする。
税理士法2条
でも税金と名前が付くので、一般の方は税理士の専門分野だと思ってらっしゃいます。
加えて、税務調査で指摘される確率も高い項目です。
税理士法2条で明確に除外されているのに、アドバイスをしないと何をやっているんだ!という目で見られる不合理さ…
ほんま、早くなくなってほしいです。
でも廃止までの道のりは遠い
実務家には不合理なことだらけの印紙税ですが、なかなか廃止とうわけにはいかなさそうです。
なぜなら税収が1兆円もあるからです。
平成30年度の税収が約60兆円ということを考えれば、少なくない金額です。しかも収入金額が安定しています。
なかなか手放せないだろうなと思います。
でも、専門家が不在なのに、税務調査で指摘される可能性が高い税金、なんとかならないのでしょうか?
編集後記
今日は、暑かったですね。移動だけで体力を消耗します。